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Monday, October 04, 2004

リュートで聴くバッハ~ヴァルター・ゲルヴィッヒ

今回は、バロック・リュートのCDを一枚ご紹介致します。

Bach: Works for lute

ここで演奏している、ヴァルター・ゲルヴィッヒ(Walter Gerwig/1899-1966)は、ドイツのリュート奏者。とりわけ第二次大戦後に興隆した古楽復興の、先駆的な役割を果たした人物で、ヴィオラ・ダ・ガンバのヴェンツィンガーなどとともに、ピリオド楽器の普及草創期を形成しました。

ここで演奏されている曲目は、いずれもバッハの作品です。

プレリュード ハ短調 :BWV999
フーガ ト短調 :BWV1000(原曲:無伴奏ヴァイオリンパルティータ第1番)
リュート組曲 ホ長調 :BWV1006a(原曲:無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番)
リュート組曲 イ長調 :(ゲルヴィッヒ編曲/原曲:無伴奏チェロ組曲第1番)
アルマンドとブーレ ~リュート組曲ホ短調 :BWV996
リュート組曲ト短調 :BWV995(原曲:無伴奏チェロ組曲第5番)

撥弦楽器によるバッハと言えば、古くはセゴビアのギターによる名演があります。セゴビアもまた独自の編曲を行った人で、無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番からの編曲、「シャコンヌ」は、今日でも評価の高いものです。

ゲルヴィッヒによる録音のうち、無伴奏チェロ組曲第1番のみは自身による編曲で、またとない聴きものと言えるでしょう。
同組曲冒頭の、有名な「プレリュード」は、セゴビアによる編曲も存在します。こちらはニ長調を採っており、趣の違いを較べるのも一興かもしれませんね。
チェロによる原曲は言うまでもなく素晴らしいものですが、こうして聴いてみると、撥弦楽器との親和性に改めて気付かされます。バッハ自身による同組曲第5番からの編曲もこよなく良いものですが、こちらは個人的に、却ってチェロの重厚な響きを意識してしまうところがあります。原曲に於いてもより舞曲的な第1番の方が、この場合、より適しているのかもしれません。
ゲルヴィッヒの演奏はごく柔らかい響きで一貫されており、それが得難い魅力となっています。リュートの素朴な味わいと、ギターの情感との中間に位置する演奏と言えなくもありません。その一方、テクスチュアを捉えるセンスが的確なので、心地良さの中からもバッハの音楽がちゃんと語りかけてきます。

録音は1964年とのことなので、ゲルヴィッヒ晩年の演奏ということになります。この人はアルヒーフ・レーベルにもモノラル期から録音を行っており、ドイツ・バロックのリュート作品を始め、多くの名演が遺されているようです。国内盤でも以前、ヴェンツィンガーのヴィオラ・ダ・ガンバと組み合わされたルイス・デ・ミランの作品集がありましたが、長らく廃盤になっています。
ギュンター・ラミンのモテット集なども再発されたのですから、この辺りで今一度、ゲルヴィッヒの音源にも光を当てて欲しいものです。

ちなみに、今回ご紹介したCDの発売元、MUSICAPHONというレーベルはドイツのCANTATEという会社の一部のようで、CANTATE名義では、ヴィルヘルム・エーマン(Wilhelm Ehmann/1904-1989)によるシュッツの作品集のCD化もなされています。
実はこちらでも、ゲルヴィッヒがリュート担当で参加していたり…。

Webアドレスはこちらhttp://www.cantate.deですので、ご参考までに。
 
 

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