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Wednesday, April 06, 2005

ヨッフム/BPOのブラームス交響曲全集

◆BRAHMS:4 Symphonien
(Deutsche Grammophon 449 715-2:2CD)
Eugen Jochum(cond)/ Berliner Philharmoniker


今回取り上げるのは、オイゲン・ヨッフム指揮/ベルリン・フィルによるブラームスの交響曲全集です。
録音は1950年代、ステレオ方式導入直前期のモノラル録音。第2番が1951年、第1番・第4番が1954年、第3番が1956年の録音とクレジットされています。

名演だ、とはかねてから聞き及んでいたのですが、これは本当に想像以上でした。どの作品を取っても密度が高く、パッションと豊かな情緒に満ち溢れた演奏です。
若干心配していた音質ですが、こちらも良好。わたくしにしてみれば何の不満も感じません。ヒス・ノイズが気にならないことも無いのですが、妙な加工を施して演奏の魅力を削いでしまうよりも100倍マシだと思います。

4曲中3曲までがフルトヴェングラー在世中の録音であり、その時期のベルリン・フィルの雰囲気が色濃く現れた演奏である点、巷間でもよく指摘される所です。
従来ヨッフムに対しては、最良の意味で「穏健篤実な指揮者」とのイメージを抱いていました。しかし、このブラームスはまるで違います。
言ってみれば、もう「ほとんどフルトヴェングラー」と言っても良いでしょう。
敢えて「ほとんど」と言い置くのは、ヨッフムがフルトヴェングラーに及ばないとか、そういう優劣の次元ではなくて、むしろヨッフムという指揮者の個性を尊重するが故の事です。

わたくしにとってフルトヴェングラーは、万事是認と言う指揮者ではありません。
その凄さはイヤと言う程認識しているつもりですが、強すぎる美質は時に猛毒たり得るもので、フルトヴェングラーはその最たる例だと思っています。
でも、ブラームスだけはフルトヴェングラーでないとダメです。わたくしは特に交響曲第4番が大好きなのですが、この曲などはさらなり、フルトヴェングラーの演奏あって惚れ込んだようなものです。
既に20種に届く演奏を聴いたものの、それでもフルトヴェングラーの呪縛から逃れる事は出来ませんでした。殊にパッサカリア形式の第4楽章、第16変奏以降は何を聴いてもフルトヴェングラーの影を追ってしまいます。

それだけの名演なのに、最大の泣き所が音質です。力感は伝わるのですが、全般に朧な雰囲気を拭い切れません。磨りガラスから向こうを覗いているような気分です。これなら同時期のソヴィエトにだって、もっと良好な録音が残されていると感じるのですが…。

ヨッフムの録音は、その不満点を補完して余りある選択肢です。
同曲異演を20種以上聴いた上で突如出会ったこの演奏は、一気に番付の最上位に躍り出てしまいました。

無人島には、今なら迷わずこれ持って行きます(笑)

それにしても、ブラームスの4番で無人島暮らしなんて、亡父が聞いたら何と言ったやら…。自分にとってブラームスは「我慢大会だ」と常々嘯いていましたから。
「円熟なんて俺は御免だ」と言わんばかりの青年めいた性向と、何となく重なるような気もします。


それにしてもフルトヴェングラーは、どうして主たる契約先にEMIを選んだのかしら…?
ヨッフムの録音、こんなにいい音質なのに。 

 
※附記
拙記事のアップロードに際しましてお便りをお寄せ下さった、orooro様のサイトとblogが大変充実した素晴らしい内容で、いたく感服致しました。敬意と共にリンクさせて頂きたいと存じます。

ブラームス:交響曲第4番

  (フルトヴェングラーCDレビュー/orooro様)
 
個人的にはボールトやザンデルリンクあたり、本当に大好きな演奏なので、にこにこしながら拝読致した次第です(^-^)
 
 

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Comments

ヨッフムのブラームスはそんなにいいんですか!ええ、ギレリスとやったピアノ協奏曲ものすごいですよね。(1番は文句なし、2番はちょっと好き嫌いがあるかも。)さっそく手に入れます。

フルトヴェングラーのブラームスはどれも音が悪いですよねぇ。戦後にやった北ドイツ放送Oのだけはいいんですけど。肝心の4番がどれもだめ。音は戦前のの方がむしろクリアかもしれないんですが、カタカタ雑音が入ってまして。まあ「戦時下」のものすごい雰囲気が盛り上がるんで、まあいいかと。(入学試験の当日に景気づけにきいていました。)

今、気に入ってるのはマルケヴィッチ。彼は変な人で4番がばかりたくさん録音しています。他では1番が2つだけ(芸風を考えるとなんかわかる)

4番でも枯淡だとか滋味だとか、そういうあいまいなのは一切なし。いつもの厳しいリズムで強烈に鳴らしています。終楽章のトロンボーンはまるで最後の審判のラッパみたいと評されます。あれ、ブラームスじゃなくてストラヴィンスキーかバルトークかって感じもしますね。

あれ聴くと、他は生ぬるくて。(フルトヴェングラーは別ですけどね)

Posted by: gkrsnama | Monday, May 25, 2015 at 09:29 PM

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