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Tuesday, May 10, 2005

ホセ・セペーロ

今回はヘレス出身のカンタオール、ホセ・セペーロ(Jose Cepero,1888-1960)について。
甥のパコ・セペーロ(Paco Cepero,1942-)は、現在も活躍する偉大なフラメンコギター奏者です。

ホセ・セペーロの芸風を最も特徴付けているのは、彼が歌詞を自作したと言う点でしょう。それ故に"Poeta del cante"(カンテの詩人)と呼ばれました。
歌唱自体は、率直で洗練された印象を与えるものです。強烈な個性こそ持ち合わせてはいませんが、カラッとした声の味の良さもあり、聴いていて非常に心地良いカンタオールだと思います。カンテ・アンダルースやファンダンゴにおいて、特に長じた人です。
他方、シギリージャなどは、少々一本調子な向きがあるかも…。

CDはひとまず、Sonifolkの

"JOSE CEPERO-EL POETA DEL CANTE"
(sonifolk 20142/2CD)

を入手すれば充分でしょう。集成盤としての纏まりの良さ。そして、聴き易く、かつ芯のある音質も訴求力高いです。
伴奏はラモン・モントージャ、ミゲル・ボルール、ルイス・マラビージャが受け持っています。

実の所、このCDを殊更に推す最大の理由は、ラモン・モントージャ(Ramon Montoya,1879/80-1949)が奏でる伴奏の素晴らしさにあります。
この偉大なトーケの巨人の、最良の遺産が聴かれると言っても過言では無いでしょう。
確かにモントージャは不世出のトカオールでしたが、彼が本領を発揮しうる共演者には、何処か似通った傾向が見受けられます。
例えば、アントニオ・チャコン、ニーニョ・デ・カブラ、マヌエル・バジェーホ、ニーニョ・デ・マルチェーナ、そして、ホセ・セペーロなど…。ヒターノの血が滾る歌い手より、叙情的で洗練された芸風に与する所が大きいのではないでしょうか?

800面近いその録音を聴き尽くした訳ではないので即断は避けます。しかし、セペーロとの共演でモントージャが鏤めているファルセータの数々は、絶品と形容する他にありません。試みにSonifolk盤のDisc.1、9トラック目のファンダンゴ"Eres un barco sin timon"(櫓の無い舟に…)を聴いてみましょう。
珠玉を綴るような音色、深く澄み渡った余韻。これは正に、オルフェウスの竪琴です。
フラメンコ・ギターの中にあっては一種異様とも言える美観ですが、心に響く音楽である事に違いはありません。名高いソロ録音とは別の形で開花した至芸の数々が、ここに収められています。
 
 

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