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Sunday, August 21, 2005

カミラ・ウィックスのシベリウス

今回は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲について。
演奏は、カミラ・ウィックス(Camilla Wicks,1928-)のソロと、シクステン・エールリング(Sixten Ehrling,1918-2005)指揮によるストックホルム放送交響楽団。
1952年のモノラル録音です。

グリーンドア音楽出版から発売の、最初期のスウェーデン盤LPより採録されたCDが、静かに話題を集めているようですね。

しかし、わたくしは現在の所、そちらには手を出しあぐんでいます。此度入手したのは、韓国EMIによる復刻盤です。
この音源、10年の長きに渡り廃盤状態だったとのことですが、一旦出始めてしまえば、矢継ぎ早ですね。他にはマニアックな復刻形態で知られる、米MYTHOSのCD-Rも出ているようです。

さて、今回聴いた感想です。他復刻との音質比較は、実際に聴いていない手前、出来かねるのですが、決して悪くはないと思います。
無闇と加工を加えている様子はなく、音像も艶やかな状態を保っています。

それにしても、ウィックスのソロは実に素晴らしい。
聴いた限りでは、僅かばかり高い目のピッチを取っているのではないかと思うのですが、どうでしょうか。さりとて、この場合マイナスに働いてはいません。むしろ、繊細で澄み渡った情緒を醸し出すことに一役買っているように感じます。

演奏全体のテンポは、意外と速めです。
今年亡くなったエールリンクのサポートは、どちらかと言えば引き締まった音造りで、雄大な情趣を呈しています。対するウィックスのソロは、その中を吹き抜ける涼風のように調和しており、これが実に美しく心に沁みるのです。

作曲者シベリウス自身に「私のヴァイオリン協奏曲の最高の解釈者」と絶賛された、カミラ・ウィックス。その令名に恥じない名盤の復活を喜びたいと思います。

当該、韓国EMI盤には、バルビローリ指揮によるシベリウスの管弦楽曲3曲(ポヒョラの娘、悲しきワルツ、フィンランディア)が併録されています。
人によっては全くの蛇足かも知れませんが、わたくし個人はこの名指揮者に疎いので、有難く堪能させて頂いた次第です。


それにしても、シベリウスのヴァイオリン協奏曲と聞いて、いつも口惜しく思われるのが、フランツ・フォン・ヴェチェイによる録音が遺されていないこと。
シベリウスは、この名ヴァイオリニストの演奏に接して、同曲の着想を得たと言います。
ヴェチェイが僅かに録音したシベリウスの作品、「ノクターン」は、それはそれは素晴らしい演奏です。
もし彼による協奏曲が遺されていたなら、どんなに良かったことでしょう。
共演の指揮者は誰が良いかな─ロベルト・カヤヌスでは余りにも高望みが過ぎるかも知れませんが、アルマス・ヤルネフェルト、あるいはゲオルグ・シュネーフォイクトならば、機会的にも決して無理な話ではありますまい。
所詮は妄想に過ぎませんが…。
 
 

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Comments

グリーンドアの復刻盤は、いろいろとイコライジングされて、低音部が不必要に強調されております。
あまりほめられた復刻ではございません。
韓国EMIの復刻が実に素直な音質ですばらしゅうございます。

Posted by: 通りすがり | Tuesday, May 01, 2007 at 09:27 AM

グリーンドアの復刻は聴いていないのですが、盤起こしの音質については色々と意見が出ているようですね。
韓国EMIのCDは、古い東芝EMIのBOXセットから引っ張ってきた音源ではないかと推察しています。このレーベルのリマスタリング担当が「例の人」に替わる前の仕事なんでしょうね、「素直な音」との仰せはまさにその通りであると私も思います。

最後になりますが、一年以上に渡る失礼を御寛容ください。漸くこのブログに対して、落ち着いて心を向けることが出来るようになりました。

Posted by: Tando | Saturday, April 05, 2008 at 10:28 PM

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