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Monday, August 25, 2008

Brilliantのパーセル・ボックス

ヘンリー・パーセルの室内楽作品を集成したボックス・セット。
ハープシコードやオルガンのための独奏曲も含んでいる。
とても良い買い物となったので、ここで少々感想を連ねたい。

声楽曲以外のパーセルの作品はなかなか一纏めに聴く機会が無かったように感じていたが、このセットがようやくその渇望を癒してくれた。

宝の山を前に、ひとまず普段から馴染んだ作品から聴き始める。
ヴィオール合奏による「ファンタジア集」は何種類か所有しているが、ここに収録されている演奏もいい。
アーノンクール夫妻のamadeo盤のような、印象の鮮やかさでは一歩譲るが、ここに聴かれるしっとりとした風合いも、折々の気分を選ばず実に心地良い。
ちなみにこの作品集のうち「4声のファンタジア」は、クロノス・クァルテットが「アーリー・ミュージック」(廃盤)というアルバムで採り上げており、「史上初の弦楽四重奏曲」との見解の下に演奏している。
その是非は措くとしても、この曲集は正に天才の仕事である。
バッハの「フーガの技法」と双璧たりうる傑作であることを、私は信じて疑わない。

私がもう一つ嬉しかったのは、ハープシコード作品集だ。
このCDでは、リュッカースの流れを汲むフレミッシュ・チェンバロが演奏に使用されている。
専ら個人的な好みの話になってしまうが、私はこの系統のチェンバロが本当に大好きなのだ。
最も「弦を爪弾いた」趣を持っている楽器なのではないだろうか…?
リュートの柔らかさを根底に遺しながらも、まるで砂金を鏤めたような輝かしい音色の素晴らしいこと!
ジャーマンの「ジーン」と響く底光りとも、フレンチの華々しさとも違う。
熱愛してやまないパーセルの鍵盤楽曲をこうした形で聴くことが叶うとは、予想を上回る嬉しい収穫だった。

全体像としてはまだ聴きこみの最中だが、今もし「鞄にはいるだけの荷物で無人島へ行け」と言われたら、数少ないスペースにこのBOXを入れてしまいそうな心境でいる。

私が今更言うまでもないことだけれど、「安かろう悪かろう」に陥らないBrilliantは偉い企業だなあ。
フィッシャーのハイドン、バルシャイのショスタコーヴィチ、それぞれの交響曲全集が、どれほどこれらの作曲家の実像を我々に引き寄せてくれたことか…。

夭折の儚さによる先入観だろうか…、
どこか哀しみを帯びたこれらパーセルの美しい作品集が、手元で心から愛おしく思われる。
 

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