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October 2008

Wednesday, October 22, 2008

鍋島元子

鍋島元子(1999年没)は日本のクラヴサン/チェンバロ/ハープシコード奏者。
この楽器における日本人奏者の先駆であり、源流と言える人だ。

没後なお、本当は私如きが呼び捨て書きするのは憚られるような御方なのだ。
しかし、敢えて固有名詞として対峙することもまた、尊ぶことであろうと割り切ってこの場でご紹介したい。

鍋島元子はグスタフ・レオンハルトに師事し、ブリュッヘン、クイケン兄弟のもとで研鑽を積み、欧米各地で一級のクラヴサン奏者として重きを成した。
一方、日本でも母校の桐朋学園を中心に後進の育成に注力した。

こんなに素晴らしい音楽家のCDが、普通のルートでは流通していない。
心ある人々が静かに、大切に護り伝えて世に送り出しているのが今現在の状況だ。
レオンハルトも、あるいはスコット・ロスも愛聴するようになってなお、私にとって鍋島元子は不変の輝きを放つ特別なクラヴサン奏者だ。
手に入れる便宜を得たならば、複数点のずっしりとした音源が聴かれるようになるが、まずは入口として1枚、「チェンバロ・バロック名曲選」と題されたものをお聴き頂きたい。
ラモー、フランソワ・クープラン、そしてバッハの作品がちりばめられている。どこかで聴いたことのある親しみ深い小品がまんべんなく収録されているから、すぐに聴き馴染むことだろう。

それにしても何という素晴らしい奏者だろうか。
鍋島元子は、佐賀鍋島家の流れを汲む(複数家ある中の何処とまでは確かめていないが間違いない)、深窓の女性として生まれ育った人だ。
それが公然のプロフィールとして目に付きにくいということは、ご自身が生前敢えて表に出すまでもないこととお考えだったのかも知れない。
しかし、自ずと具わった気位の高さは隠しようもない。
この人の演奏を聴いていると、どうしても、古伊万里の色絵の、極上の逸品に眺め入った折、東洋の中に西洋が見え、またその逆が見えるような交錯、不思議な感興に等しいものを抱く。

「ナベシマ」と言えばまず極上の磁器を思い出す向きもあろう。
鍋島元子もあるところから遡れば、そこに還り着く芸術家なのだと思う。
だから、こと私の趣味志向から申せば唯一無二なのだ。

鍋島元子のCDは、自身の創設になる"古楽研究会-Origo et Practica"(通称・オリゴ)のサイトを通じて入手することが出来る。ディスコグラフィは、こちら。


あとは私の個人的な話。
この人のCDを入手して以来、いつかは「銀璧亭」で紹介したいと思っていたが、その日の気紛れのような感じではとても対峙出来ないと観念していた。
今が本当にちょうどいいタイミングで、楽しく意義深かった私の佐賀旅行から、また普段の音楽日記へ軌道修正するためには、この人CDを措いて他に好適の音源は無い。

佐賀よ、どうだろうか。
別に「個性と英知で磨き上げる田園都市『佐賀市』」という構想も悪いとは言わないがね。
違った方向から汲み戻すべきものがあるのではないかしら?
今やうら寂しい、かつてのメインストリートを思い切って「鍋島通り」とでも名付けてみたらどうだろう?
三十五万石の彦根藩/彦根市(因みに佐賀鍋島藩は三十六万石で非常に近い)が、その方向性で見事に観光都市へと転換出来たことにも目を向けて欲しいものだ。
 

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Saturday, October 18, 2008

伊之助めん

「この めん、わかんねえなあ~」

炊事場で腕組みして考え込みました。
まだ、私は佐賀旅行を引っ張ってまして、今回もその話です。

いよいよ佐賀を離れる時のこと、JR佐賀駅にある佐賀県物産売り場で、何か買おうとしていたのです。
職場や友達へのお土産品は村岡総本舗の安くてうまそうな新製品、「とら焼き 宗歓」(1ヶ126円)を手配したし大丈夫。せっかくだから、私達夫婦のお土産になるものも、と考えました。
本当は私が焼物にハマっているので、まんべんなくイイモノが並べてある、有田焼、伊万里焼、唐津焼、等々から何か買いたいんですよ。だけど妻がこの悪癖にウンザリしているので、これは不可…(苦笑)
じゃあ徹底的に安くて、ちゃんと食べるものにしよう、と思考をシフトして店を隅々まで眺めていたら、何となく目に留まったのが今回ご紹介する「伊之助めん」なのです。
見た目は何の変哲もない、スーパーで普通に売っている「乾うどん」です。
「あ~、佐賀も特産でうどんがあるのね。うどんならちゃんと食うし、嫁さんも好きだから、これでいいか。」
と、無我でこれを買いました。

さて、きょう今夜。
夕食の内容が思い浮かばないので、ちょうどいいから気軽なうどんにしようかと思った訳です。
そこで、この「伊之助めん」を取り出しました。
念のために調理方法を確認した時の心境が、冒頭の一言なのです。

<調理方法>
・ゆでたてを食べること。
・麺をゆでる前に、つゆ、薬味など「材料の全てをととのえて」、なおかつ「召し上がる直前に麺をゆでてください」とのこと。
・2リットル(約1升1合)の水を充分沸騰させるべし。
・そのままで湯がふきこぼれない状態を維持しながら、15~16分麺をゆでる。
・ゆで終わったら火を止めて、5~6分むらす
・「少量取り出し冷水につけ」て、「御試食 いたゞきお好みの固さで手早くざるにあげ」る。

・・・・・・
めんどくせえ!!

でも、全てを指示通りにやりました。
そして、食べました。
あ~、おいしかった^^

伊之助めんは、佐賀県神埼市(かんざきし/吉野ヶ里遺跡で有名)にて360年続く製麺の老舗とのこと。

昔々のある日、そこに小豆島からの旅の坊様が訪れたそうな。
ところが急病にかかり、路傍で苦しんでおったそうな。
気の毒に、と思った地元の伊之助さんが、誠心誠意、介抱したところ、坊様は程なく回復したそうな。
坊様はそのお礼として、小豆島特産の「そうめん」の作り方を伊之助さんに教えたのだそうな。

伊之助さんは、これぞ天が与えた家業、と心に決めて日夜精進し、出来上がったのが現在まで伝わる「伊之助めん」なのだそうです。

うおお、気楽に食ってた「うどん」にも茶道華道剣道みたいな「うどん道」があったんやなあ、と納得。
お心に留まるようでしたら、Web通販可とのことですのでお試しになってみてはいかがでしょうか。

いやはや、佐賀は今の今でも「葉隠」の郷でございますね(笑)
 
そう言えば大阪梅田に「はがくれ」という、うどんの名店があったなあ。
 
※ちゃんとクラシック音楽の話も、書く予定を立てております!
「銀璧亭」とはCDの様態をもじってつけた名前、音楽抜きでは成り立ちませんので…。
 

 

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Tuesday, October 14, 2008

佐賀に行ってきました!

母親の郷里、佐賀県佐賀市に久し振りに行ってきました!
今でこそ「ドイナカ」のイメージで玩弄され、当事者も開き直っている佐賀県。
しかし鍋島三十六万石由来のこの県は、ハイセンスな文化も沢山あるんです。
ところが「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」の「葉隠武士」の無愛想さと律儀さ、それぞれの極致である気質が、色々な「イイモノ」を残念ながら単なる「器用貧乏」にしてしまい、全国的には「単なるイナカ」扱いになってしまいました(^^;

佐賀のイイモノ色々は伝統文化やグルメ、ショッピング等々沢山あるんですが、今回はその一つをご紹介。

実は今回、佐賀市の中心街を歩いて、ゴーストタウン化の凄まじさに愕然としました。
個人商店が郊外型ショッピングセンターに吸い上げられてしまったんですね。
私が目当てにしていたお店も潰れていないかとドキドキしていましたが、大丈夫、元気でした(笑)

そのお店が「コオダ貿易」(店名:オリエンタル・アート・コオダ)なんです。
ここは、輸入貿易会社・インド雑貨店です。
アジアン雑貨」というジャンル確立前の1973年から、インドの素敵雑貨を素晴らしいセンスで販売してこられた、由緒正しいお店なのです。
今でこそ珍しくないしつらえに見えるお店ですが、私が子どもの頃(25年程前)から全く様子が変わっていません。実のところ、時代が近年このお店に追い付いただけだと私は考えています。
こぢんまりと厳選しながら、入荷商品の品定めのセンスは、さすが長年のノウハウをお持ちでとても奥が深い。
私自身、大人になった今でこそ近畿三都の同種店へのアクセスが自由自在ですが、何も買うものが見付からずに退店することもしばしば。日常的に貿都・神戸をも射程範囲にしながらも、です。
しかし、佐賀の、この「コオダ貿易」では必ず「あ、珍しい、買っちゃおう」って、なっちゃう品物が必ずあるんですよ。

その「コオダ貿易」が最近遂にWeb出店されたことを、今回旅行で教えて貰いました。
これで、私のスペースでも大々的に宣伝出来ます。
私にとって「コオダ貿易」を応援することは、間接的に佐賀を応援することと同じです(笑)
まだまだ店頭のエッセンスだけがWeb販売の対象になっているだけのご様子ですが、拡充に期待してます。

そんな訳で、見づらいところにありますが私の"SHOP"リンクに「コオダ貿易」を追加しました。
ご関心の向きは是非、定期的にチェックなさってみてください。

以上、個人的な思い入れにお付き合い頂いてありがとうございますm(_ _)m 

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Wednesday, October 01, 2008

判明、炎の(偽)自作自演「ガヤネー」

2005年9月29日のエントリーなので、かれこれ3年間持ち越してきたということになる。
サモスード/作曲者自演のハチャトゥリアン作品集


今になって、ほぼナゾが解明しつつあるので追記したい。
ことの発端は"Parseghian Records PR11-163"という、自作自演+ロジェストヴェンスキー指揮の「ガヤネー」(ガイーヌ)と、サモスード指揮という「仮面舞踏会」を入手したことだった。
ちょうどその前にロシア系の別件音源で手痛い騙しに遭い、多くの方にご迷惑をお掛けしたばかりだっだので、こうした音源の素性には非常に懐疑的になっていた時期だ。

まずサモスード指揮のものは、音質から考えてウソだろう、と思った。
後程、Dante盤を入手したら音質も演奏も先述盤とは全く違う。
よってサモスード/仮面舞踏会は贋物確定である。ただ、贋物自体の素性は未だ確かめていない。

問題は「ガヤネー」の方だった。とにかく熱が入った超名演なのだ。
しかし、作曲家自身がこういう血管を浮き立たせたような指揮ぶりを聴かせよう筈は無い。
内外各地での様々な録音を聴いていれば、それは明白だ。
そうなると、これは一体誰の指揮なのだろうか…?
恐らく全曲盤に近い体裁でなければ揃わない曲目だ。この段階で指揮者は限られてくる。
まず入手が容易なチェクナヴォリアン盤を聴いたが、残念ながらこれは外れ。
他に思い当たるのは、カヒッゼ&ソヴィエト放送響か…?
しかし、オリジナルのメロディア盤は長く廃盤で、高値で購う手を講ずるのも厭わしい。

そうこうしていると、先日ひょんなことから、スルリと手に入ったではないか。
さっそく「序曲」から聴く。
うーむ、これは既聴感があるぞ、金鉱脈の先触れかも知れん。
そうこうしているうちに、「レズギンカ」である。
「これだッッッ!!!」
凄まじいパーカッションの前奏に思わず膝を打つ!
他曲も逐一確認したが、「ロジェストヴェンスキー指揮」と銘打ったものまで、全てこのカヒッゼ盤から引いていることが判明した。しかし贋物は何故、指揮者を分けるという面倒な真似をしたのか…?

そういう訳で「ガヤネー」、押しも押されぬ最高の名盤はヤンスク・カヒーゼ盤ということに確定。
グルジアでの珍音源ばかり先に馴染んだ身としては、ソヴィエトのオケを相手にこれだけ頑張っていた人だと言うことに驚愕だ。
これは恐れ入りました。
 

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