« October 2008 | Main | December 2008 »

November 2008

Friday, November 21, 2008

ペリーコのアンソロジー

久々に晩酌で痛飲というくらい呑んでいる。
そうなると本当に久々、無性にフラメンコが聴きたくなった。

フラメンコは危うい芸能で、一旦取り込むと体の芯までジワジワと浸食してくる。
私は変わったフラメンコで、歌いも弾きもしないし踊りもしない。
ただ聴くだけのフラメンコ。こういう人は本邦はおろか世界中にも少ないみたいだ。

先般、SNSで御知遇を賜っている「憧れの女性」にフラメンコを紹介する時宜を得た。
まず何より先に、浜田滋郎氏の「フラメンコの歴史」(晶文社)…。
何だってエ、重版切れだとオ!

そして、音源。
イイモノが軒並み絶版になっている。
アルチーボ・デル・カンテ・フラメンコ…、廃盤。
アントロヒア・デル・カンテ・フラメンコ・イ・カンテ・ヒターノ(マイレーナのアンソロジー)…、廃盤。
カンタ・ヘレスもダメ!!
かろうじて、ペリーコのアンソロジーだけが、今も現役だ。
とりあえず1曲目、ハリート入魂の歌唱、ウエルバのファンダンゴから痺れて貰えれば嬉しい。

考えてみれば7-8年前、私がフラメンコに出会った時分、市場はまだ潤沢だったのかな?
あれからまた、フラメンコは変わってしまったのだろうか?

だけどアウレリオ・セジェスの歌声は不滅だし、ディエゴ・デル・ガストールのトーケは永遠だ。
そうでしょう?
そうでなくっちゃ、やりきれないよ。
 
アクースティカに「グラン・クロニカ・デル・カンテ」の最新盤と併せて、買い控えていた何枚かを発注した。
グラン・クロニカは1ヶ月ちょっと遅れたつもりだったが、何と在庫切れ!
次回入荷は未定!?
やりきれなくって、どう返事したらいいかわかんないよ。

しばらくつれなくしていた所為で、フラメンコの方からもそっぽを向かれてしまったらしい。
あ~ア!!

─Ay!!─
 
 

| Comments (0)

Monday, November 03, 2008

エレーヌ・グリモーのバッハ

孤高にして峻厳なる現代のピアニスト、エレーヌ・グリモーが物凄いCDを出した。
これは新譜だが、既にして歴史を画する名盤の資質を有している。
今年はじめ、一旦発売中止となっただけに、漸くの流通が叶った喜びもひとしおだ。

平均律クラヴィーア曲集からの抜粋を鏤めながら、ブゾーニ編曲の「シャコンヌ」、リスト編曲のBWV.543の「前奏曲とフーガ」、ラフマニノフ編曲のBWV.1006のプレリュード(無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番)、そしてBWV.1052の「ピアノ協奏曲第1番」を収めている。

一枚で70分を超えるCDなのだが、通しで全て聴き終えて、驚くほど重い疲労感が残った。
これは本来、2枚に分割するべきボリュームだと思う。
それほどまでに各楽曲に対するグリモーの集中力は凄まじく、一瞬たりとも弛緩を見せることはない。

ブゾーニ編曲の「シャコンヌ」は、私に限らず、少なからぬ方にとって悪疫のような一曲だと信じる。
ピアニスティックな、ヴィルトゥオーゾ的なアプローチもあれば、原曲へひたむきに回帰しようとするアプローチもあるだろう。とかく多様な側面を併せ持つ魔性のピアノ曲が、この「シャコンヌ」なのだ。
演奏史的に視ると、ブゾーニ自身がピアノロールに刻みつけた畏怖すべき名演の、その血脈をあかあかと受け継いでいるのが、ここに聴かれるグリモーの演奏なのだと私には思われてならない。
静謐でありながら劇的であり、荘厳でありながら流水のように柔軟な、そういう演奏だ。

アルバムの結びには、私が大の苦手とするBWV.1006のプレリュードが入っているのだが、かくも纏綿、かつ爽涼感に溢れる音楽としてはついぞ聴いたことがない。CD1枚を通じた演目上の配置も、絶妙に設計されているのだ。

後は私があたら言葉を連ねても空しいだけだ。
とにかく、ご関心の向きは実際に聴き通して頂くほかにない。
発売と同時に手にしてからというもの、私は憑かれたように繰り返し聴いている。
 


| Comments (4)

« October 2008 | Main | December 2008 »