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November 2015

Thursday, November 19, 2015

ロバート・クラフト逝去(2015年11月10日)

 ストラヴィンスキーの晩年、深い信頼関係で結ばれた師弟であった、アメリカの指揮者・音楽評論家、ロバート・クラフト(Robert Craft)が、さる11月10日にフロリダ州ガルフストリームの自宅で逝去したとの報である。92歳。

The Telegraphの訃報

 天寿と言うべき御歳とは言え、痛惜の念は尽きない。
 謹んで哀悼の意を捧げたいと思う。

 Columbiaには未だCD化されていない、ストラヴィンスキー以外の音源(ドビュッシー『ビリティスの歌』など)も存在する。近日発売予定のユージン・イストミンや、先年亡くなったチャールズ・ローゼンの音源と同じように、ロバート・クラフトのColumbia音源集成ボックスの発売が実現すれば、せめてもの慰めになるのだが。

 このブログを御覧になっていて、未だロバート・クラフトに邂逅していない御方がいらっしゃるようであれば、ストラヴィンスキーの1962年のソヴィエト帰国公演に帯同したクラフトの指揮による「春の祭典」(Venezia)、ロンドン交響楽団を指揮してデジタル録音された「春の祭典」

だけでもまずはお聴きになることをお勧めしたい。これほど明晰でありながら暴力的な昂奮に満ちた「春の祭典」があったのかと、きっと愕かれることであろう。
 特に前者はVeneziaレーベルの廃盤が続々続いている状況なので、購入不可となる前にご関心の向きにはこの機会のご入手を今一度強くお勧めする。上質とは言えないソヴィエトのステレオ録音と、この類の楽曲に戸惑いながら臨むオーケストラの粗が随所に散見されるものの、それら全ての悪条件を超えて未だに生々しい血の滾りを喚起せしめる不朽の記録である。

 ストラヴィンスキー、親交のあったシェーンベルクをはじめ新ヴィーン楽派から、ヴァレーズまでを徹底的に明晰に演奏する一方で、モンテヴェルディやジェズアルド、バッハの合唱曲に目の覚めるが如き清新な解釈を見せた、実にユニークな指揮者であった。
 バーンスタインとはまた異なる、「アメリカの偉大な指揮者」の在りようを、私は常にロバート・クラフトに対して見ていた。
 
 暫くの間は、大きな喪失感と共に過ごすことになりそうだ。
 
 R.I.P Robert Craft(October 20, 1923 – November 10, 2015)

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