グルメ・クッキング

Saturday, October 18, 2008

伊之助めん

「この めん、わかんねえなあ~」

炊事場で腕組みして考え込みました。
まだ、私は佐賀旅行を引っ張ってまして、今回もその話です。

いよいよ佐賀を離れる時のこと、JR佐賀駅にある佐賀県物産売り場で、何か買おうとしていたのです。
職場や友達へのお土産品は村岡総本舗の安くてうまそうな新製品、「とら焼き 宗歓」(1ヶ126円)を手配したし大丈夫。せっかくだから、私達夫婦のお土産になるものも、と考えました。
本当は私が焼物にハマっているので、まんべんなくイイモノが並べてある、有田焼、伊万里焼、唐津焼、等々から何か買いたいんですよ。だけど妻がこの悪癖にウンザリしているので、これは不可…(苦笑)
じゃあ徹底的に安くて、ちゃんと食べるものにしよう、と思考をシフトして店を隅々まで眺めていたら、何となく目に留まったのが今回ご紹介する「伊之助めん」なのです。
見た目は何の変哲もない、スーパーで普通に売っている「乾うどん」です。
「あ~、佐賀も特産でうどんがあるのね。うどんならちゃんと食うし、嫁さんも好きだから、これでいいか。」
と、無我でこれを買いました。

さて、きょう今夜。
夕食の内容が思い浮かばないので、ちょうどいいから気軽なうどんにしようかと思った訳です。
そこで、この「伊之助めん」を取り出しました。
念のために調理方法を確認した時の心境が、冒頭の一言なのです。

<調理方法>
・ゆでたてを食べること。
・麺をゆでる前に、つゆ、薬味など「材料の全てをととのえて」、なおかつ「召し上がる直前に麺をゆでてください」とのこと。
・2リットル(約1升1合)の水を充分沸騰させるべし。
・そのままで湯がふきこぼれない状態を維持しながら、15~16分麺をゆでる。
・ゆで終わったら火を止めて、5~6分むらす
・「少量取り出し冷水につけ」て、「御試食 いたゞきお好みの固さで手早くざるにあげ」る。

・・・・・・
めんどくせえ!!

でも、全てを指示通りにやりました。
そして、食べました。
あ~、おいしかった^^

伊之助めんは、佐賀県神埼市(かんざきし/吉野ヶ里遺跡で有名)にて360年続く製麺の老舗とのこと。

昔々のある日、そこに小豆島からの旅の坊様が訪れたそうな。
ところが急病にかかり、路傍で苦しんでおったそうな。
気の毒に、と思った地元の伊之助さんが、誠心誠意、介抱したところ、坊様は程なく回復したそうな。
坊様はそのお礼として、小豆島特産の「そうめん」の作り方を伊之助さんに教えたのだそうな。

伊之助さんは、これぞ天が与えた家業、と心に決めて日夜精進し、出来上がったのが現在まで伝わる「伊之助めん」なのだそうです。

うおお、気楽に食ってた「うどん」にも茶道華道剣道みたいな「うどん道」があったんやなあ、と納得。
お心に留まるようでしたら、Web通販可とのことですのでお試しになってみてはいかがでしょうか。

いやはや、佐賀は今の今でも「葉隠」の郷でございますね(笑)
 
そう言えば大阪梅田に「はがくれ」という、うどんの名店があったなあ。
 
※ちゃんとクラシック音楽の話も、書く予定を立てております!
「銀璧亭」とはCDの様態をもじってつけた名前、音楽抜きでは成り立ちませんので…。
 

 

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Wednesday, July 19, 2006

VEGEMITE─ベジマイト

過日掲載した他愛のない記事で、「ベジマイト」について触れた。

Vegemite
 
 

この食品、ご存知の方も沢山いらっしゃることと思う。
オーストラリア、ニュージーランドで常食されている、濃褐色の塩辛い酵母ペーストである。

日本語ではWikipediaの記事が概略的に分かり易くまとまっているので、そちらを参照されたい。

それと、発売元であるKRAFTのサイト(英文)もある。ベジマイトを使った調理レシピも掲載されている。

面白いのは「ゴールドコースト通信 なんでも情報箱」さんの
「ベジマイト VEGEMITE」
ベジマイトを取り巻く様々な現況や、レシピ、それに「ベジマイトの歌」などが楽しく取り上げられている。


ベジマイト。
その風味に対する日本人の感想に、好意的なものは少ない。
鼻を突く薬品的な臭い、そして強烈な塩辛さ。
Web上を検索しているだけでも様々な形容が飛び交う。

「正露丸みたいな臭い」
「薬臭い味」
「古くなった塩辛い味噌みたい」...etc.

日本での輸入業務はエムケーチーズ、販売業務は森永乳業が行っている。附記されたキャプションには「『オーストラリアの納豆』とも呼ばれる…」云々。
つまるところ「母国の人以外には抵抗のある味ですよ」って、販売元から暗に言ってしまってるんだな(^^;
こんな食品が、果たして日本人の食習慣の中に、入り込む隙はあるのか…?

周辺知識ばかりどんどん増えてしまって、私にとっては、もはや実際に食べてみるしかない…という状態である。価格は235g入りビンが400円弱と言ったところ。別段高価でもないし、後は買う勇気があるかないか…。
それだけだ!

そして先日、遂に輸入雑貨店でベジマイトを購入。
恐る恐る蓋を開けて、まずは指先でひとすくい、味見を…あれ、意外と固いぞ、このペースト。
磯海苔の佃煮みたいなどろどろを想像していたんだけれど、蓋を開けて逆さまにしても落ちてこないくらい、固い。

味の方は…鼻にツンとくるものはある。塩辛いのも本当だった。
「古い味噌」というのは、なかなか当を得た形容だと思う。薬臭いような黴臭いような独特の臭いがあるので、確かに好き嫌いははっきり分かれるだろう。
そうは思いながらも、自分はこれ、結構大丈夫なんじゃないかと感じた。

早速翌日の朝食から試してみる事にした。
あつあつのトーストに、まず下地としてマーガリンを塗る。それから、上にベジマイトを薄く塗り拡げる。これで「ベジマイト・トースト」の出来上がり。
Wikipediaの写真そのままである。

さて、食べてみた感想…覚悟していたほど悪いものじゃなかった。いや、想像以上にいける。
実はこの一週間、朝食は欠かさずベジマイト・トーストを食べているくらいなのである。
マーガリンの味と、ベジマイトの塩辛く癖のある味とが重なった結果、ブルーチーズにも似た風味になった。
つまり、この系統の風味が駄目という人には向かない。バター、もしくはマーガリン・トーストをわざわざ不味くして食べているのと同じだろう。

ベジマイトは特にビタミンBが豊富で、10g食べれば一日当たりの必要摂取量に届くのだそうだ。でも、塩分摂取量の一日当たりの目安も10gなので、この塩辛さを前にすると、躊躇してしまう。
それくらいベジマイト自体の塩味が利いているので、下地には製菓用の無塩バターを塗るようにした。これで味のバランスも、塩分摂取量も改善したと思う。

ビタミンBには、疲労時に伴って身体に蓄積する、乳酸を分解する作用があります。
異国の風変わりな味覚を厭わないお疲れ様に、朝食のベジマイト・トースト…いかがですか?!
 
 


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Monday, January 16, 2006

伊佐焼酎

所用あって、一昨日から昨日にかけて、鹿児島まで足を運んでいた。一泊二日の圧縮スケジュールだ。
行き先は鹿児島県大口市、父祖の郷里、我が本籍の地である。

大口を含む伊佐地方一帯は、全国でも名高い焼酎どころだ。
郡山八幡神社(大口市・国指定重要文化財)の棟札には、

「其時座主ハ大キナこすてをちやりて一度も焼酎を不被下候 何共めいわくな事哉」
─(神社の)座主がたいへんなケチで、(改修工事の間)焼酎を一度も振る舞ってくれなかった。何とまあ迷惑なことだ。

といった旨の、大工による愚痴書きが遺されている。そして、永禄二年(1559年)八月十一日と記されたこの落書きこそ、「焼酎」の用語が確認される現存最古の史料なのだそうだ。大口が「焼酎発祥の地」を以て任ずる由縁である。

さて、伊佐産の焼酎銘柄の中でも群を抜いて人気を集めているのが、「元祖プレミア焼酎」とも言われる「伊佐美」(甲斐商店)だ。昔ながらの瓶と木桶で仕込む同銘柄は、元々の出荷数が少なく、以前から入手が難しかった。
現地の酒販店では、蔵出しの後なら大抵扱いがあるけれども、他銘柄との抱き合わせ販売が当たり前。以前は「他銘柄2本+伊佐美1本」が「相場」だった。しかし昨今の焼酎ブームの中では、それもどうなっているのやら…。
今回の訪問は折悪しく週末と重なっていたため、大方の酒販店は休業日。実情を確かめることすら叶わなかった。遠来の客人と思しき人が、土産物店で「伊佐美はありますか」と訊いているのを小耳に挟んだが、例年正月には出荷があるのが、今年はどういう訳かそれが無い、次の入荷は2月頃になるという話だった。
ちなみに醸造元の甲斐商店は、旧大口駅前の商店街に店舗を構えている。
元来、売り惜しみをするような店ではないので、折良く在庫があれば割愛して貰うことも出来た。ただ、これは往時でさえ僥倖と言えるケースである。今回訪問では甲斐商店も休業日だったので、現況はどうなのかわからない。直売価格は2000円もしなかったと思う。それが都市部では5000円を下ることは無いのだから、「何共めいわくな事哉」。

そんな経緯で、今回訪問では「伊佐美」探しは断念。
身辺へのお土産には、「伊佐三大銘柄酎」のうち、「伊佐美」以外の2種、「伊佐錦」(大口酒造協業組合)と、「伊佐大泉」(いさだいせん/大山酒造/菱刈町)を購入した。

「伊佐錦」、わけても黒麹仕込みの「黒伊佐錦」は、全国的にも定評のある銘柄。黒麹特有の、甘口で濃厚な味わいは、芋焼酎の本領と言ってよいだろう。供給が安定していて、流通範囲も広いので、芋焼酎と言えば、まず最初に手に取って頂きたいと思う。

一方の「伊佐大泉」は、流通の範囲が割合限られていて、地元を離れると入手が少し難しくなる。それでも、今のところ「伊佐美」のような極端なプレミアムを附されてはいないのが救いだ。
この銘柄は、とりわけ地元一帯での評価が高い。「伊佐錦」の、もったりとした野趣に比して、「伊佐大泉」には洗練された趣がある。それでいて、芳醇で底深い味わい。毎日呑むには、こちらの方が適しているだろう。一度知ると虜になる名酒だ。
郷土愛から言えば「伊佐錦」に左袒するべきであるが、私は専ら「伊佐大泉」に惚れ込んでいる。

「伊佐美」のテイスティングも此処で報告したい所だが、酒を嗜むようになって爾来、「伊佐美」を口にする機会を得ていない。先述の事情もあって、今回の入手も叶わなかった。
本当は、一升瓶で3本、秘蔵しているものがあるのだけれど、故あって開封出来ない。
これは遡ること平成十三年の五月、亡父と最後に大口を訪れた折に求めたもので、開け渋っているうちに、とうとう「開けられない酒」になってしまったのである。
これを呑むのは、私の人生の何か大きな節目を期することにする。


一泊二日に圧縮した旅程だったが、その中身は随分と充実していた。2日間の滞在が、4日5日はあったような心持ちがする。

亡父昵懇の御仁から猪肉に鹿肉の饗応に与ったのも、山里ならではの愉しみだ。寝言で「もう食べられない!」と言ってしまいそうなくらい、旨いものばかりを沢山食べさせて貰った。
人の少ない所は、得てして食材が良い。天然・地産の食材ばかりで、地域の人口を充足することが出来るのだから。
運転絡みで焼酎抜きだったのは、返す返すも惜しまれる。猪肉に伊佐焼酎とくれば、最高だろう。
次はもっとゆっくりとした日程を組もう。

久々に父祖の墓参と菩提寺への挨拶も果たしてきた。

菩提寺では、住職と副住職との二人がかりで、「早く結婚しなさい」と懇々と諭されてしまった。

住職:「何でも先送り先送りにしていると、結局好機を逃してしまう。平成十八年の目標は『結婚』これ一つに絞り込むぐらいの気持ちでかかりなさい。」
副住職:「先輩が『結婚相手は自分の生活圏の半径500m以内にいる』と言っていたけれども、実際私もその通りでした。」

与太話のようでいて、随所に仏教思想の因縁めいた裏打ちがあるものだから、浸透性が強い。じわじわと効いてくる。
さてさて、どうしたものだろう。

薩摩藩時代の一向宗禁制300年を経て、御一新後の徹底的な廃仏毀釈、その直後、明治9年の宗門解禁によって、鹿児島県下では真宗門徒が爆発的に増加した。檀家数500軒、700軒の真宗寺院も珍しくない。
鹿児島県下の真宗寺院は、どこもお布施収入の個別申告額が余りに少なく、税務局が疑念を抱いて検めに入ったという笑い話も残る、そんな土地柄である。


ともあれ、件の「伊佐美」の封を開けるような祝宴を設ける心当たりは、今のところ無い。
平成十八年の抱負は、どうしたものだろうか?
先述の御住職曰く、
「この際『結婚』と部屋に大書しておきなさい」
とのことなのだけれども…。 
 

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Sunday, November 28, 2004

サントリー山崎蒸留所を訪ねる

昨日、今日と出掛けて参りました。
順番が前後しますが、まずは今日の話から…。

今日は友人と連れだって、サントリーの山崎蒸留所を訪れました。
事前予約制の工場見学ツアー(無料)が約50分。その後、ウイスキー館のゲストホールで、サントリーの自信作「山崎 12年」と「響 17年」とをテイスティング。ちょっとしたおつまみまで付いて、やはり無料です。
このツアー、それこそ何年越しかで訪れているので、正直言うと見学行程はあらかた覚えてしまっているのですが…その割に、アンケートでは毎回「2回目」って記入する辺りが、我ながら実に卑しい…(^^;

そうは言っても、今回はちょっと目新しい箇所がありました。
先頃募集が始まった、オーナーズ・カスクの専用区画が、貯蔵庫の中に設けられていたのです。

このシステム、まずはオーナーズカスク見学とテイスティングを申し込み(1万円)、納得ゆくまで吟味を重ねます。その上で気に入った原酒を樽ごと買い切ってしまうのです。
1樽当たりの価格も最低が50万円、最高では3000万円と云うのですから…うむむ。
幾らウイスキーが保存性に優れた酒であるとは言っても、恐らく投機性は皆無に近いと思われます。個人購入の対象としては、まさしく究極の贅沢ですね。わたくしには到底真似出来そうにありませんね、ハイ。
複数人で「ウイスキー講」を結成するのも良い方法かもしれません。ただ、どの樽を選ぶか、意思統一が大変そう…。
そんな事を考えている間にも専用貯蔵庫では、成約したオーナー氏が鏡板にご自分のサインを入れておられました。ああー、この身の裡にルサンチマンを認めずにはいられない瞬間だわ。

ちなみに樽ごと買い切りとは言っても、全て瓶詰めの上で届けられる、との事。空樽は取り扱いが危険な上、乾燥すると分解する危険性があるため、譲渡頂けないのだそうです。残念ですね。
ただ、鏡板を壁掛けにあしらって、記念贈呈して貰えるのだとか。

さて、蒸留所を訪れる大きな楽しみの一つに、テイスティングカウンターでの有料試飲があります。
サントリー銘柄のウイスキーは勿論、シングル・モルトを中心に、各国の様々な銘柄をテイスティング出来るのです。
あ、国内の競合各社の銘柄は置いてません。

…なんだか今日は、心なしか筆致がねじくれているような…。

ともあれ、一瓶買えば随分な値のする銘酒を数百円単位で試す事が出来るのですから、自分好みの銘柄探しにはうってつけの場と言えるでしょう。わたくしの好みもまた、此所に足を運ぶ事で固まったようなものです。

また、此所でしか味わえないものもあります。
例えば、樽で熟成する前の「ニューポット」、更には、樽出しそのままの原酒など…。
今回の収穫は、山崎蒸留所製の原酒「山崎スモーキー」。定番の銘柄「山崎」を構成するブレンドの一翼、殊にスモーキー・フレーバーが強いものです。
全般にサントリーのウイスキーは、ピート香やスモーキー・テイストを前に出さないブレンドがデフォルトであると見受けます。その辺り、わたくしの全く個人的な嗜好から、少々物足りなく感じていたのですが…。
この「山崎スモーキー」には心底唸ってしまいました。見事に造り込まれた味わいです。
蒸留所限定販売でも良いので、是非にと販売を希望致します。

そんなこんなで、仲間と随分杯を重ねてしまいました。

そう言えばこの蒸留所、「山崎」となっていますが、実際の所在地は京都府乙訓郡大山崎町ではなく、大阪府三島郡島本町です。

京都府と大阪府の丁度境目、本当に薄皮一枚で大阪府。

納得いかねえ~。


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Monday, September 20, 2004

おいしいコーヒーと音楽

わたくしにとって、コーヒーは数少ない嗜好品の一つです。日常的に少なからぬ量を喫飲しています。
淹れる方法は専らドリッパーです。シンプルな方法ながら、湯気に導かれて立ち上る香りともども、よい気分転換にもなります。この淹れ方もなかなか奥が深く、道具一つ、手順一つを変えただけも味わいが違ってくるもの。湯注ぎのポットを細口に変えるだけでも、また、湯を沸騰の後5分程冷ますだけでも、仕上がりは随分とおいしくなるものです。

今回は、出来上がったコーヒーを飲みながら聴く音楽の話。
勿論折々に好きなものを選べばよいのですが、ここでは特にわたくしからお薦めしたいタイトルをご紹介致します。

「アコーディオン・パリ」(学研/プラッツ)、Vol.1-Vol.5までの5枚シリーズで発売されています。
音楽ジャンルの上では『ミュゼット』と呼ばれるものですが、このジャンルを簡潔に説明することはなかなか難しい。
その起源は、オーヴェルニュ地方出身者がダンス・パーティの伴奏で奏でていた音楽です。彼らは19世紀を通じて度々パリへと大挙して移住し、共同体を形成してゆきました。1870年代になって、そこにイタリア系移民が入り込むようになります。両者なかなか相容れない関係の中、紆余曲折を経てイタリア人がミュゼットの中にもたらした楽器、それがアコーディオンでした。
その後、様々な名奏者の手を経ながら、アコーディオンはミュゼットの中で大きな地位を占めるようになります。やがてミュゼットは、時代の推移と共にサロン音楽やロマの音楽、そしてジャズなどを取り込みながら、街角の音楽としてより広く浸透してゆくのです。

今回ご紹介したシリーズは、1994年にVol.1-Vol.3がまず発売されました。この時の選曲と解説はcobaこと小林靖宏氏によるもの。その後1年を隔てて、Vol.4とVol.5が発売され、全5枚で完結となります。
収録されている演奏は、シャルル・ペギュリやエミール・ヴァシェのような、アコーディオン・ミュゼット草創期の巨匠、そして、「タタヴ」ことギュス・ヴィズール、メダール・フェレロ、トニー・ミュレナといった、ミュゼットの全盛期を築いた20世紀生まれの名手達によるものです。
時折、ダミアやジャン・ギャバン、そしてエディット・ピアフといった人達との共演が聴かれるのもまた、大きな楽しみとなっています。

このような蘊蓄はさておき、「ミュゼット」という音楽ジャンルにお馴染みのない方は、ひとまず音楽自体をお聴きになってみて下さい。「初めて聴く真っ新の音楽だ!」という感想をお持ちになる方は、そう多くはないかと思います。
実は、ミュゼットという音楽ジャンルは言うに及ばず、ご紹介したCDに収録されている音源の幾つかは、TV番組などの音素材として定着しているものです。
特に美術番組や紀行番組などで、19世紀末から20世紀前半のパリ─「巴里」という表記が似つかわしかった時代─が登場する際、頻繁に耳にするアコーディオンの音色があるはず。その多くは、きっとミュゼットです。
前述のCDの場合、すべてがSP音源であるため、音質は古めかしいものばかりですが、それ故に価値が減じることはありません。むしろ、年代を経た骨董品と同質の、得難い味わいを感じさせます。
あるものは物憂く、またあるものは小粋な音楽の数々。
プレイヤーから再生されると共に、その空間を懐旧的な雰囲気で満たし、やがて淹れたてのコーヒーの香りと調和してゆきます。

たとえ生まれた時間と場所が隔たっていても、聴く人に共通の情緒を喚起する音楽が存在するように思います。今回取り上げた音源の場合は、当て所ない郷愁とでも言えばいいのでしょうか。
これが無意識のうちに刷り込まれたイメージに由来しているのかどうか、我が身に立ち返ってもはっきりとはわかりません。何を好むかも人によって千差万別ですから、ともすればわたくしの感興自体が幻想なのかもしれない。

でも、ひとりコーヒーを淹れて静かに楽しむ方には、ここにご紹介した音楽の味わいもまた、お楽しみ頂けるのではないか。
そう思いつつ、傍らのコーヒーと共にこの記事を連ねました。
 
 

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Saturday, September 11, 2004

ローズマリー酒

昨日ふと思い立って、ハーブリカーを作ってみました。ローズマリー酒です。
全然大したことはしてないんですけれど、思いの外いいものが出来つつあるので、ご紹介をば。


【材料】

スピリタス・ウォッカ(96度)                500ml
乾燥ローズマリー葉(瓶売りの調味用)          15g


むう、殊更に書くことに気後れを感じる位、シンプルですね。


【作り方】

1) 密閉容器を熱湯でよく洗い、乾燥させる。
2) スピリタス・ウォッカと乾燥ローズマリーを密閉容器に入れる。
3) 冷暗所(火気にも注意)にて保管する。

やっとのことで3手順に分割した、というくらい作り方もシンプル…(^^;

スピリタス・ウォッカを触媒にすると、ごく短時間で成分が抽出されるようで、24時間程度でこのようになります。
rosemary.JPG

早速試飲して、仕上がり具合を確かめることに。
とりあえず小さじ1杯分の分量を、水で約5倍に薄めてみました。水と混ざることによって、アルコール度数の高い酒特有の白濁現象が発生します。なんだかアブサンみたいだなあ。
これだけ薄めても、約20度という強さ。改めてスピリタス恐るべしの感がありますね。
ウイスキーで言えば、トワイス・アップで飲むのとほぼ同じことなんですから…。

さて、肝心のお味について。
まず一口含んだだけで、ローズマリーの芳香が拡がります。ベースに使った酒がスピリタスだけなので、飲み口は極めてドライ。やはりハーブリカー特有のビターテイストはあるのですが、ローズマリーの場合ある種の清涼感も伴っているので、お好み次第で活かし方・調え方が違ってくるかと思います。
ちょっと苦手かな、という方なら、氷砂糖などで甘みをつけてみては如何でしょうか。
わたくしの場合この飲み口が非常に気に入ったので、とりあえず現状では手を加えないことにしました(^-^)

それと、酩酊感の心地よいことにも驚きました。
ローズマリーには、記憶力を増進させ、落ち込んだ気分を高揚させる薬効があるので、それが酔い心地にも作用しているのかもしれませんね。
人と集った時に飲むと、非常に楽しめるお酒なのではないかと思います。

『若返りのハーブ』と呼ばれるローズマリーの薬効が染み込んだお酒、皆様もお試しになってみてはいかがでしょうか?

※ただし、ローズマリーには通経作用(これも薬効の一つですが)がありますので、お酒に限らず、妊娠中の方は念のため使用全般をお控え下さい。
 

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